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聞いてしまった責任-1
翼との生活を始めてから5か月が経ち、すっかり慣れた、とそう言いたいところだけれど、ひとつだけ慣れてはいけないことが起きている。
俺は夕食の準備をしてくれている翼を、こっそり睨みつけていた。
最近気づいたことだけれど、翼にキスをされたのはあの病み上がりの1回だけじゃない。
先月も数回、そして先週も一度だけ気づき、今朝だってそうだった。
寝たふりをしなければ済む話かもしれないけれど、唇に触れられたタイミングで起きることがほとんどだから、「お前、俺にキスしたよな?」と確信を持って伝えることができないでいる。
かと言って、何でもないこんなタイミングで「どうして俺にキスするの?」なんて聞けるわけもない。
全てが俺の勘違いで、翼に「はあ?」と呆れられたら気まずくてたまらないし。
こう思ってしまうのは、翼が特別それを意識した態度を出さないからだと思う。おそらくキスをした日も、朝から何事もなかったように過ごしているし、何か意識しているようには見えない。
「航大、料理できたから運んで」
「……うん」
取り皿や箸、飲み物は全て用意し、翼に言われた通りに夕飯のおかずは翼に任せ座っていた俺は、のそのそと立ち上がり、キッチンへと受け取りに行った。
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