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聞いてしまった責任-10
実際のところは知らないのに、どうしてかそうであってほしくないと拒否の気持ちが強い。
今時の子はみんな、あの距離感で接していて、慣れているから動じないだけなのかも。翼も意識してないから流している、はず。
それか、彼女が先輩で断れないとか……?
もしくは……。
「……あいつ酒飲んでないよな?」
最初に確認したときは、いつものように烏龍茶に見えた。さすがに酒を飲むようなやつではないからこそ、ウーロンハイでした、なんてパターンはないと信じたい。
いっそのこと声をかけに行くか?
メッセージは送信取り消しして、「偶然だな」って言いに行く?
でもそれで、「あ、彼女ができたんだよね」と言われてしまったらどうしよう。
せっかく同僚との飲み会を楽しみに来たのに、翼のことが気になって仕方がない。これならまだ、和田と席をかわらずにいれば良かったかも。
そんなことを思いながら、どうすべき考えていると、翼の横の女の子は翼と腕を組み、さりげなく飲み物を入れ替えた。
その子も烏龍茶を飲んでいるように見えたけれど、それならわざわざ入れ替える必要はないはずだ。
もしかして、あの子の飲み物こそウーロンハイか? 翼が、酒を飲んでしまうかもしれない。
そうしたらどうなる? 翼が酔ってしまったら? 隣のあの子は何をするつもりだ?
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