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聞いてしまった責任-11
いてもたってもいられなくなり、俺は思わず立ち上がると、「どうした!?」と焦るふたりに「もう帰るわ」とだけ伝え、翼のいるテーブルへと向かった。
女の子が腕を組んでいるのとは反対のほうを掴み、「お前何やってんだよ!」と叫ぶと、翼が見たことないくらいに目を見開く。
「航大、何、やって、え? 何で、いんの? は?」
その動揺は何?
俺がいると思わなかったから? 女の子と距離が近いのを見られたから? 酒を飲んでいるのがバレるから?
「何やって、って、お前が何やってんだよ。20歳になってないくせに、酒なんか飲むな!」
見過ごせば良いことかもしれない。翼からしても楽しく食事をしているところに、突然俺がやってきて、場を乱すような発言をしたら嫌な気持ちになるに決まっている。
それでも、意図してかそうじゃないかは分からないにしても、飲まされて、酔わされて、あの女の子に好き勝手されたらと思うと、自分でも意味が分からないけれど、腹が立ったんだよ。
「はあ? 飲んでねえよ。烏龍茶にしてるって」
そんな俺の気持ちを知るはずもないから、翼はウーロンハイが入っているだろうコップを俺の鼻に近づける。
飲んで確かめてみれば良いのだろうけれど、女の子との間接キスをしたいわけじゃないから、コップから顔を逸らし、「それが烏龍茶には見えないけどね」と吐き捨てた。
それから、隣の女の子をじっと見ると、「……あ、ごめん。私のと入れ替わっちゃったかも」と気まずそうに視線を逸らされた。
この女、やっぱりわざとやったな。
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