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聞いてしまった責任-20

 とうとう鼻水まで出てきた翼を見ていると、ふと可愛いなと思ってしまった。普段はかっこいいが似合う翼なのに、俺のことでこんなに泣くことがあるんだ。  俺はずるいのかもしれないけれど、こういう翼の姿からも、俺が誰かに必要とされる人間だと言われているように感じてしまっている部分も確かにある。  翼から肯定される感覚を得られていたのも、彼の好意によるものだったのかもしれない。  そこに甘えてきた責任は、どんな形であれ、俺も取らなければいけないんだろうな。 「それって、泣きながら言うこと?」  あまりにも崩れている翼の顔を見ながら思わず笑うと、「泣いてないし!」と翼が叫んだ。 「いや、泣いてるんじゃん」 「航大、うるさい」 「……とりあえず、風呂入ってこいよ。それから今日はもう寝よう」  背中に触れ、風呂場のほうへと押すと、翼はそれに素直に応じつつも、「何でさっきまで大して拒否せず感じてたくせに、そんなに余裕ぶってんの」と不満そうにする。 「てか俺と一緒の部屋で寝られるわけ?」  翼のこの言葉に、そういえば同じ寝室だったことを思い出す。確かに気まずさがないわけではないけれど、今からベッドを運び出すのは現実的でない。  じゃあどちらかがソファで寝るとしても、どの部屋も鍵付きの扉ではない時点で、結果は同じでは?  

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