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アイツのアレが俺にも?-10
「俺の誕生日を祝いたいの?」
「うん」
俺にもたれている翼を見ていると、突き出した唇をもごもご動かしていて、それが何だか可愛い。
「翼の誕生日はうちに来てすぐだったのもあって、ちゃんとお祝いしてないのに? 翼は俺の誕生日を祝ってくれるんだ?」
「俺のはどうでも良くて。俺は航大が好きだから、好きな人の誕生日は祝いたい。直接祝えたのって小さいときだけで、ほら、折り紙で作った何かとか、そんなのしかあげられなかったし」
「……そっか」
さっきまで拗ねた子どものような反応だったのに、さらりと俺のことが好きだから誕生日を祝いたいなんて言うものだから、構えていなかった俺は動揺してしまう。
それが肩から伝わったのか、その隙を狙ったかのように、翼がこちらを向き、それからちゅっと軽いキスをしてきた。
不意なことで避けられないだけではなく、隣には段ボールがあり、その周りには送ってもらった調味料や材料が並んでいるせいで、身動きが取りにくい。
「翼……っ」
今はやめろよと、目で訴えてみたけれど、翼はそれを聞いてくれる様子はなく、角度を変えながら何度も軽いキスを繰り返す。
「航大が俺に時間をくれるって言うまで、やめない」
「え……、ねえ、待っ……て」
じりじりと詰められ、背中に段ボールが当たる。段ボールを潰す勢いで下がってみたけれど、その後ろの壁に邪魔をされ、それ以上下がることができない。
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