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アイツのアレが俺にも?-17

 翼が俺のために我慢するポイントが分からないけれど、同じ男としてこれだけ反応しているのに何もしないのはつらいだろうと、とりあえず背中に腕を回した。 「……あ、」  翼が俺の精液を飲むのを防ぐのに必死で、いまだ下半身が変わらず丸出しなことに気づいてしまう。 「翼、ちょっとパンツ履いてもいい?」 「え? ああ、そっか、俺が脱がせたんだわ」  さっきとは全く別物のように萎んだ俺のを指先で弾きながら、翼が笑った。  本来笑えないことをされたのに、どうしても翼のことは憎めないし、同じことを返してあげられない状況に申し訳なさすらある。  これって、やっぱりおかしいのかな? 俺、翼に流されてるのか? 「俺、本当にバカなのかも」 「は? とうとう認めたんだ?」 「……いや。まあ、うん。認めるしかないのかも」  何となく胸のあたりを触りながら、翼を見つめると、本気で心配したような顔をしている。 「どうした? 変だよ」  変だよと言われても。言い出したのは翼だし、こういう俺にしたのも翼なんだが? 「翼が言ったんじゃん」 「俺のは可愛いって意味のバカだから」 「何だそれ」  ちゃんと向き合って考えたほうが良いのかな。それともこのままのほうが良い?  良いっていうのはどういう意味で? 都合が良い? 何の都合?  考えれば考えるほど分からなくて、再度抱きしめてきた翼の腕の中で、頭の中をぐるぐると働かせていた。

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