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アイツのアレが俺にも?-19

「ただいま」  部屋に入ると、母さんが夕食の用意をしてくれていた。俺と小春の好きな料理が並んでいて、ありがたい気持ちになる。  荷物を置き、手洗いうがいを済ませると、そのままキッチンへ立ったけれど、「まだ作っているからあっちに行って」と、邪魔者扱いをされて先に座らせられた。 「じゃあ俺、小春のプレゼント開けて待ってるね」  リボンをほどいてしまうのがもったいない。記念に残すべきだと、俺は料理を背景に、小春のプレゼントを写真におさめた。  そんな俺の姿を、小春は肘をついて嬉しそうに見ている。     箱のサイズからして、アクセサリー類か?  でも俺はピアスも開けていなければ、ネックレスもブレスレットも普段からすることがないけれど。 「開けるよ」 「いいよー!」  箱を開けると、ネクタイピンだった。  これはまさか、翼と合わせたのか!? と、勢いよく顔を上げると、予想が当たったようで小春はニヤニヤと笑っていた。 「翼が誕生日プレゼントにネクタイあげたって言ってたからさあ。私はピンにしたよ」    先週の俺の誕生日前日、翼と色々あったけれど、日付が変わるタイミングでプレゼントとケーキをもらった。  冷蔵庫に入れたものは、やはりケーキだったと当てられたことを嬉しく思いつつ、まさかその他のプレゼントまでもらえるとは思っていなかったから驚いたんだ。  しかも有名ブランドのネクタイで、シンプルだけどさりげなく可愛い柄が描かれていてオシャレなものだった。

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