はっきりしないと可哀想……か。 　俺の気持ちがはっきりしているかしていないか、そんなことは関係なしに翼は触れてくるから、どちらかと言えば可哀想なのは俺じゃないか？　とそう思う気持ちはある。 　けれど、明確に拒否されるわけでもなければ、受け入れられるわけでもないこの状況は、確かに翼にとったら苦しい。 　だからこそ、俺の気持ちを確かめるような言動が増えているのかもしれない。 　だとしても、俺が翼を受け入れるって、キスや身体の触れ合いを拒否しないってことだけではなくて、ひとりの人として翼を好きになって、ずっとそばにいたいとか、離したくないとか、そういう気持ちを抱くってことだよな？ 　 　……俺が、翼に？ 　 「可能性って言われても……。正直分からん。それに小春は、俺が男と付き合う点には何も思わないわけ？」 「だって翼でしょ？　嬉しいって気持ちしかないけど」 「そ、か……」 　言い切られてしまうと、受け入れない俺が悪いみたいな気持ちなってしまう。 　まあでも、翼が勝手なことをしてくるとはいえ、あれだけ俺に尽くしてくれている翼の気持ちを、利用したり、振り回し続けることはやめたほうが良いのは分かる。 「航兄がさ、翼を拒否する気持ちがないんだったら、受け入れる努力をしてみてよ。可能性を考えてみて」 「可能性ねえ……」 「今ここでそうして悩んでいる時点で、受け入れてみても良い気はするけどね。私は拒否しないことにびっくりしてるよ」