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アイツのアレが俺にも?-23

 どうしたらいいのかは分からないけれど、これまで軽いキスからめちゃくちゃなキスも、そして肌や下半身に触れられたときだって、耐え難い嫌悪感はなかった。  むしろ、身体が反応してしまったくらいだし、翼のことを怖いと思ったり、避ける気にもならない。  思えば最初に寝込みにキスされたときも、別に嫌ではなかった。  ……俺、本当にずっと嫌じゃないんだよな。 「翼は航兄のこと大切にしてくれるよ。変わらないし、裏切らない。これだけは私もはっきりと言える」  小春は俺より何十倍、何百倍と翼のことを見ているし、そして何より俺のことが大好きなブラコン妹だからこそ、この言葉は心から伝えてくれたのだと分かる。  今ここで何か決断することはできないけれど、俺のことを好きでいてくれる翼を、俺なりに考えてあげないといけないのかもしれない。 「ふたりで話し込んでどうしたの?」  最後の料理を運んで来てくれた母さんが、小春の横に座った。 「久しぶりだったから近況を、ね?」 「そのわりに険しい顔してるじゃん。ま、いいわ。お父さんはあと少しで帰ってくるらしいけど、ご飯冷める前に食べ始めましょう!」 「母さん、ありがとうね」  手を合わせていただきますをした後も、俺は翼のことで頭がいっぱいだった。  

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