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アイツのアレが俺にも?-25

「航大……? そんな簡単にキスさせちゃってさあ」  俺がすんなり受け入れたからか、自分から2回目をしたくせに翼が目を開いた。  ……そんなに驚くことか? 「航大さ、もしかして俺のこと考えてた?」  そんなわけないよね、と言いながらも、翼は少し期待の滲んだ視線を向ける。  そういうのも、嫌じゃない。……本当何なんだろう。  俺は今ここで答えを濁したり、そうではないと否定するよりも、素直に頷いてみて、それに対する翼の反応が見たいと思ってしまった。 「うん、お前のこと考えてた」 「……まじで?」  俺の隣に座った翼が、ソファの上で正座をする。  ここで、やった! と喜び、キスでも何でもしようとすることもなく、俺が考えたことを真剣に聞きたいと思ってくれているだろう翼の気持ちが伝わる。 「……翼って、どうして俺が好きなの?」  その答えを聞いたからといって、何かが大きく変わるわけでもないけれど、それでも一度くらいはちゃんと聞いてみたいとそう思った。  答えを想像はできなくても、何か良いことを言われるのではと勝手に期待していると、翼は困ったように笑い、「分からない」と答える。 「分からない……?」 「何か強い理由がほしかったのならごめん。うまく言えない」 「そっか」

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