100 / 186

アイツのアレが俺にも?-28

 変わらず、自分でもどうしたらいいのかは分からない。でも、翼が俺に対して与えてくれた言葉が嬉しくて、それに心が動いたことは確かだ。 「俺って、翼に流されてる? これでいいのかな」 「流されたとしてもいいよ、嬉しい。そのまま流されて、溺れてって」  翼の襟を掴んだままの俺の手に、翼は自分の手を重ねた。  俺の胸元に押し付けていたはずの手は、俺の後頭部へと回され、ゆっくりと翼のほうへと引き寄せられる。 「航大、好きだよ」 「……知ってる」  俺は翼にされるがままに、キスを受け入れた。  回された手は、後頭部から背中へと滑り、シャツの中へと進んでいく。 「この間みたいなことはしないから、航大の肌に触れるのは良い?」 「……ん」  服を脱がされ、上半身裸になると、翼の視線を感じ、急に恥ずかしくなった。脱がされた服で隠すと、そのシャツを奪われ、遠くに投げ捨てられる。 「……あっ、」 「ちゃんと見せて」  翼も器用に服を脱ぐと、同じように床に投げ、それから俺の胸元にキスを落とした。 「まだ心臓、うるさいね」 「……っ」 「しばらくこうしてていい?」  変わらずソファに寝転んだままの翼に、重なるようにして体重をかける。  肌と肌が触れ合って、境目が分からなくなる不思議な感覚に身を委ねながら、呼吸する間も惜しいくらいにキスを繰り返した。

ともだちにシェアしよう!