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男前な彼-3
「ただいまー」
「航兄も翼もおかえり」
先に戻っていた小春がいつものように玄関で出迎えてくれると、俺ではなく翼の手を引き、自分の部屋へと連れて行った。
これまでなら俺にまとわりついて離れなかったのに? 真っ先に翼なんだ? と下唇を突き出す。
「あらあら、仲良しさん」
ふたりを見ていた美香さんがにっこりしながら、部屋へと消えていく姿を見ている。
きっとお似合いだと思っているんだろう。
ま、翼が好きなのは俺ですけどね。
でもやっぱり、小春と翼を見ているとお似合いに見えるし、どうして俺なんだろうと、急に自信がなくなる。
そもそも俺もまだ翼に好きだとはっきり伝えたわけではないし、翼に付き合ってほしいと言われたわけでもないから、そういう意味では今後どうなるか分からない不安定な関係なのかもしれない。
ひとり置き去りにされた俺は、小春の部屋のドアをしばらく見つめた後、リビングへと入った。
「あれ? 翼くんは?」
「小春が連れてった」
「あ、そう。航大何か飲む?」
「いいよ、自分で用意するから」
台所を開け、用意してあった麦茶のボトルを手に取ると、馴染みのないコップへと注いだ。最近買ったのかな?
翼の分も用意してあげようかなと、いまだ俺を放置して戻ってこない翼のために、もうひとつ用意した。
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