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男前な彼-14

◇ 「で? 最近どうなんだよ」  久しぶりに同期の中川と和田と飲みに来たけれど、ずっと翼の話をしつこく聞かれるだけで、どうやらそれ目的で誘われたらしい。  中川としては和田が翼のことをイケメンと言っていたのを覚えているからこそ、あまり翼の良いエピソードを語ってほしくないようだったけれど、和田が楽しめる話題をと思い、結果翼のことを聞くしかなくなっているようだ。  どうしようもねえなとため息をつく。でもこうなったのは、あの日ふたりの前で、突然キレ散らかし、翼を連れ帰ってしまった俺の責任だ。 「どうもこうも、一緒に暮らしてるだけだよ」    特に話せるようなことは何もないと、濁しながら酒を流し込む。 「でも料理はその子がやってんだよな?」  それなのに空気の読めない中川が話を続け、「え? 翼くん料理もできるの?」と、和田が飛びつく。  そんな和田を見て「やっぱり料理ができる男が良い?」とショックを受けている。  勘弁してくれよ。  勝手に騒いでいるふたりを無視し、俺は次から次に酒を注文し、ひたすら飲み続ける。  飲んでないとやってられなかったし、いくら飲んでも酔わない自信はある。  それにそうでもしないと、翼のことばかり考えてしまうから。  年末年始の帰省以来、翼に対する接し方が分からなくなってしまっているから、ねちねち悩んでは頭の片隅に片付け、何もすることがなくなると取り出して、を繰り返している。

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