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男前な彼-18
翼の背中に顔を埋めながら、震えることしかできず、とにかく恥ずかしくてたまらない。
お金は職場で払うからとそう言って、翼に早く立ち去るよう促したとき、和田が俺の脚を掴んだ。
「翼くん、かっこよすぎる。年下とは思えないね」
一体何の話を始める気だ。
「翼くん、連絡先教えてくれない? 高寺が翼くんと付き合わないなら、私が狙っちゃおうかな」
「え!」
明らかに冗談なのに、中川が焦った声を出す。少し顔を上げて見ると、中川は和田と翼を交互に見て、泣きそうになっていた。
お前の好きな和田はそんなに意地悪なのに。恋は盲目だな。
無視して帰ろうと翼の首に回した手に力を込めるたとき、和田がスマホを差し出し、交換用のQRコードを提示する。
……え? 本当に交換するの? 和田の冗談じゃなくて?
和田を止め切らずにパニックになっている中川と、俺の職場の同期だから下手な対応はできないと思ったのか、ポケットからスマホを取り出す翼に、俺までパニックになってくる。
待って待って、何で交換する必要があるわけ?
視線で止めるように訴えるけれど、和田は俺にはお構いなしで、スマホを下げることもしない。
翼はスマホを操作し、読み込み用の画面を出すと、和田のスマホに近づけた。
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