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可愛いと思ったら負け-2

 ……俺、翼のこの笑い方が1番好きかも。 「はっ……!」  思わず見惚れてしまったことが恥ずかしく、どうにか誤魔化そうと、「松なんとかって人とは、本当に飲んでないんだろうな? 俺とが初めてか?」と、また別に取り繕わないといけないような話を振ってしまった。 「え? 松山先輩?」 「……いや、その、」  翼の反応を見ていると、まるで俺のほうが翼の初めてを欲しているように思えてきて、頭から湯気が出そうなほどに恥ずかしくなってくる。  翼からお願いされたことなのに、これじゃあ俺が初めての酒を一緒に飲みたいって頼んでいるみたいだ。 「あのとき、俺が飲んでたのは烏龍茶だし、飲まされる前に航大が乱入してきたでしょ」  翼がクスクスと笑う。 「乱入って言い方がなんかムカつく」  そもそも女の子をあの距離に入れた翼が悪いじゃん。そうしなければ、酒と烏龍茶を入れ替えられることもなかったんだから。 「あれは俺のバイト先で伝説になってるよ」 「は?」 「航大の保護者、怖すぎるって言われてるし」  怖すぎるも何も、怒るのは当たり前じゃないか? 間違って酒を飲んで、何かあってからじゃ遅いだろ。  今振り返ってみても、あのとき止めて良かったと思っている。  その後の翼とのあれこれがあったと分かっていても、俺はまた同じ選択をするはずだ。

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