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可愛いと思ったら負け-5

「これ飲めるか?」 「試してみようかな」  翼でも飲めそうな甘めの弱いお酒から、俺がよく飲むビール、飲みやすめの日本酒、ワインなど、あらゆる酒をカゴに入れた。  全ておいしく飲めるとは思っていないけれど、翼にどれが合うのかも、どれくらい飲めるのかも分からないからこそ、俺といるときに試すほうが良いはずだ。    翼が20歳になったと知ったら、あのバイト先のメンバーは翼と飲みに行きたがるだろうし、あの松山って子も何をするか分からないから。  偏見だけれど、あの子はお酒が強そうだから、ぐいぐい勧めてきそうだし。 「……だいたいその松山って子はまだ働いてるのかよ」  今後の心配の程度が変わるから確認しておいたほうが良いと思い、カゴにつまみになりそうなものを入れながら、翼の顔を見ずに尋ねた。  辞めてくれていたら嬉しいと期待したけれど、「働いてるよ」と即答される。 「もしかして心配?」 「……また変なことされるかもしれないしな」 「さすがに大丈夫だよ」  俺の心配をよそに、翼は何の警戒心もなさそうだった。どう考えても自分の酒を未成年にこっそり飲ませようとする奴がまともなわけがない。  翼に気があって、どうにか自分のものにしたいと思っていたに違いない。  それなのに翼は彼女に対して鈍感で、今もこうして未遂だったことすらなかったかのような反応をして。 「何されるか分からないだろ」 「何されると思うの? 何されたら嫌なの?」  俺がそれ以上を言わないのが気に入らないのか、翼は何かの言葉を引き出す意図を含んだ言い方をする。  

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