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可愛いと思ったら負け-7

 結局、翼の要求に全て応えたけれど、ふざけていたのは出発前と店内のキスだけで、それ以外は何事もなく買い物を終えられた。  翼が欲しがったものは、どれもお揃いのマグカップ、お揃いのパジャマ、お揃いの歯ブラシ立て、お揃いのスマホケースなど、とにかくお揃いばかりで、発想がどれも可愛いものだった。    予約していたケーキも受け取り、家に帰り着くと、翼は購入したものをテーブルに並べ、撮影を始める。  俺は買ってきたケーキを冷蔵庫に入れると、「夕飯は本当にピザで良いんだな?」と確認した。 「絶対にピザがいい!」 「じゃあ後で注文するから、何のピザが良いか決めておけよ」  幼い子どものようにはしゃぐ翼を見ていると、思わず笑みがこぼれた。 「そういえば、誕生日のお願いごとはどれも可愛い内容だったな」  今の翼の様子も含めてと伝えると、急に真顔になり、「何を言っても可愛いって思ってくれる?」と、じっと見つめられた。  もしかして、言わないほうが良かったか……?  さっきまでの翼の雰囲気とは全然違って、やらかしてしまったと自覚する。 「それは……、分かんない、けど」 「俺は航大のこと、何しても可愛いと思ってるけどね」  さっきまで少しだけあった距離は、いつの間にか縮められ、俺が逃げないようにか腰に手を回されると、あっけなく口を塞がれた。

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