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可愛いと思ったら負け-10
……可愛いって思ったら負け? じゃあもう俺は負けてるじゃん。
「翼のこと、可愛いと思ったとして……」
「うん」
さっきまでキスマークを見ていた翼の視線が俺へと向けられる。
さらに口角が上がり、視線が柔らかくなる。前にも感じたことがあるけれど、愛おしいってそんな感じがした。
俺みたいに取り繕うこともなく、こうして素直に表現できてしまうところも、翼の魅力だと思う。
翼に向かって手を伸ばすと、その手を優しく包み込まれた。それから翼は、自分の頬を擦り寄せてくる。
……そういうのも、ずるい。
俺は、耳にかけるように翼の髪に触れた。
「……可愛いって思ったら、負けになるんだろ?」
「うん」
「その、もし……、負けてしまったら、どうなるの?」
「……どうなるか、確かめてみる?」
俺の手を翼の頬から離すと、翼はそのまま口元へと運び、かぷりと小指を噛んだ。
それから、小指を吸ったり舐めたりされ、そこへ意識が集中してしまっている間に、簡単に服を捲り上げられる。
顕になった胸の突起は、何を期待してか既に立っていて、それを笑われた後に、優しく吸われた。
甘噛みをしたり、舌で転がしたり、俺の反応に合わせて変えられ、これまでそこで感じるようなことはなかったはずなのに、翼に触れられるとどこも変になってしまう。
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