139 / 186

可愛いと思ったら負け-20

「何か敷いてからすべきだったな。ソファが死んだわ」  全てを終えて、ぼーっとしていたけれど、ソファに大量に散っている透明や白く濁った液体が目につくと、一気に現実に引き戻される。  翼はウェットティッシュで軽く拭いた後、ソファのカバーを外し始めた。  本体にもうっすら染みているような気もするけれど、拭いて消臭除菌スプレーでもかけておけば良さそうだ。 「何もする気がなかったのに、航大が煽ったからだろ?」 「俺のせい?」 「当たり前じゃん」 「は? ウザ」  文句を言い合いながらも、翼は俺を抱きしめ、隙あらばキスをしてくる。それをかわすこともなく、全て受け入れ、最後には俺からキスをした。 「ピザ頼む?」 「うん。俺もう決めた」  翼の希望のピザと、ポテトやチキンのサイドメニュー、飲み物まで注文すると、混んでいるのか1時間待ちだった。  それまで何しようかと思って翼を見たけれど、上半身裸で、ズボンが途中まであるとはいえ、下半身ほぼ丸出しの翼を見ていると、自分のほうがさらに恥ずかしい状態だと思い出す。 「とりあえず、風呂入るか」  俺が先にシャワーしていいか? と聞けば、翼が俺の手を引っ張り、「待って、一緒に入りたい」と言う。  男ふたりで入るには少し狭い気がするが、今日は俺の翼可愛いフィルターが壊れてしまっているせいで、何を言われても可愛く思えて仕方がない。

ともだちにシェアしよう!