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どうしてこうなった-4

 何がよろしくねだよと、頭が沸騰しそうなくらいに腹が立ち、俺は華の肩を掴むと玄関のドアを開け、外に押し出そうとした。  待ってよ! と華が叫び、「幼なじみくん! 助けて!」と翼を呼ぶ。  翼は俺に怒っているのか、何を考えているのかは分からないけれど、俺の手を掴んで止めると、華を再び玄関の中に入れた。 「翼、お前……!」 「へえ、翼くんって言うんだ。ありがとうね」 「華、頼むから黙れよ」 「……航大の素ってそんな感じなんだ? 荒めの言葉遣い、初めて聞いたかも」  場の空気を読む気がない華は、ひとり笑っている。俺は華のどこが好きだったんだろうか。  あまりにも勝手すぎる。 「華さんって、航大が結婚まで考えた人だもんね。綺麗だし、お似合いだ」  何を思ったのか、翼はそう言うと、財布を取り、靴を履き始めた。 「……翼? どこ行くんだよ」 「せっかくだから、ふたりで話したら? 華さん、汚いけどどうぞ上がってください」 「翼!」  俺が止めようと伸ばした手を振り払い、翼はあっけなく出て行ってしまった。  追いかけようと俺も靴を履くと、「置いていかないで」と華が俺の手を引く。    華の手を振り払うくらい簡単なことだけれど、「翼くんにお似合いだって言われちゃった」と嬉しそうにしている華の声がして、途端に足が動かなくなった。

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