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どうしてこうなった-5

 今追いかけたとして、華を追い出せたわけでも、二度と来ないように説得したわけでもない俺が、翼に何を言えるんだ?  俺もテーマパークに行きたい気持ちはあったんだ。カチューシャとかバカみたいに付けて、翼と写真を撮りたかった。  それなのにお前が俺よりも友達を選んだことにムカついた。そんなことで拗ねてしまうくらいに、翼が好きなんだよ。  華のことは知らない。勝手に押しかけて来ただけで、何を言われようが俺は、翼のことしか考えられない。  たったこれだけの言葉を、出て行った翼を追いかけて、動揺せずに伝えられるか? 「お邪魔します!」  玄関にしゃがみ込む俺を無視し、華はリビングへと入ってしまった。 「私が選んだものがなくなってる! 黒ばっかりじゃん!」  カーテンから何から、華と暮らしていたときに使っていたものがなくなっているから、雰囲気の変わった部屋に、華が驚いた様子を見せた。  そのままにしている可能性があると思っていたのか?  当時はあれだけ好きだった華のことが憎くてたまらない。  別れるときも、そして今も、どれだけ勝手なことをすれば気が済むんだ。 「本当に翼くんと暮らしているんだね。私がいなくなってから、ずっと男とふたり暮らしなの? 新しい恋人もいないってことかあ……」

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