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どうしてこうなった-18

『航兄だって、こんなにぐだぐだしてるんだから、翼もぐだぐだしてんの! 良い歳した大人でも取り乱してるんだから、20歳そこらのやつが、それより余裕を持って振る舞えるわけなくない?』  確かに、と一瞬でも思ってしまったからか、隙が生まれたと自分でも分かった。 『だいたいそんなことも分からないなら、今まで航兄が翼に甘えすぎてたんじゃないの?』  小春がさらに捲し立てるように話し続け、完全に何も言えなくなってしまう。  これまでの言動を振り返ってみても、俺は翼に甘えてばかりだったことは事実だ。  だからと言って、あの日の翼を全て許し、俺から歩み寄らないといけないことなのか?  俺の気持ちを確認もしないで、華とやり直すと決めつけ、俺が嫌がっていると知っている松山さんを利用したのに。 『翼に何を期待してるの? ずっと航兄のことだけを想ってきたあの子は、誰よりも航兄を失うことが怖いんだよ?』 「それは……!」  それは俺だって同じだ。  翼を完全に選ぶまで色んな葛藤があったし、翼を振り回してきたけれど、それでも気持ちが通じ合ったあの日は、人生で1番嬉しかったと言っても過言ではないほど、満たされた感覚があった。  うまく伝えられたかは分からないけれど、俺からも翼を求めたし、この気持ちを分かってもらえたと、俺はそう思ったんだ。  それなのに、華が押しかけてきたことで、翼はあの日の俺をなかったことにした。  俺がそんなことで揺らいで、その結果元カノを選ぶようなやつだって思ったってことだ。俺を信じてくれなかった。

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