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どうしてこうなった-24
あの後すぐに翼が迎えに来てくれ、人目も気にせずに手を繋いで家まで帰った。
これまでは、どうせ翼は帰って来ていないと、ずっと玄関を開けることが怖かったけれど、久しぶりに一緒に帰ってくることができて、胸がいっぱいになる。
結局翼から連絡をもらって、こうして一緒に帰って来ることになって、小春の言う通りで俺が甘えるだけで何もできていない。
ここからは俺が翼に気持ちを伝えなければと、翼の手を引いたままでソファに座った。
「まずはごめん」
隣の翼をしっかり見ながら、はっきりとした言葉で伝えると、それから頭を下げた。
「俺もごめん。航大を試すようなことして、結果的に傷つけたし」
翼は俺に顔を上げるように言い、それから自分も謝罪の言葉を口にする。
肩を優しく掴まれ、その手の感触にまた、涙が滲んだ。
「……それは傷ついたけど、その前に俺が華のことで翼を傷つけたから。俺のほうがごめん」
もう一度謝り、翼の手に触れると、ぎゅうっと握る。それを跳ね除けることもなく、翼も握り返してくれた。
絡められた指先から、安心が伝わる。
「……それから、俺は俺なりに伝えて来たつもりだったけど、改めて考えると、翼に気持ちをうまく伝えられていなかったかもしれない」
ゆっくりと言葉を紡いでいく俺を遮ることなく、翼は心地よい視線と相槌をくれる。
何としてでも今、翼に対する想いを伝え切らないといけないと、俺は深く呼吸した。
「そういう意味でも翼のことを傷つけたり、不安にさせたと思う」
「でも、そもそもは、俺が一方的に航大のこと好きだっただけだし」
大丈夫だよと、翼が俺の手の甲を撫でた。
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