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どうしてこうなった-25
「だとしても、翼を受け入れた以上、俺からも示さないといけないものだから」
俺なりの誠意を考えたから、どうか受け入れてくれたら嬉しい。
俺は翼の手を握る力を強くし、震える唇を噛み締めた。
俺の緊張が伝わったのか、心配そうに翼が俺の頬に触れる。
「……まず、両親に翼との関係を伝えようと思う。あのとき翼がみんなの前で伝えてくれたから、俺も今、同じ気持ちだし、真面目に向き合っていくことを示したい」
「え……」
「それから、俺が意図したわけではないにしろ、華が押しかけてきたことは良くなかった。さすがに今回のことで復縁する気がないと分かってくれたとは思うけど、今後も一切何もないかどうかは分からない。この家を知られているから」
さすがにその次の言葉を察したのか、翼がごくりと唾を飲み込んだ。大きな喉仏が動き、翼も緊張しているようだ。
「……だから、新しい部屋を借りようと思う。俺が一緒に住みたいと希望した翼を受け入れただけの部屋ではなくて、これから一緒に暮らしていく部屋を、ふたりで決めに行こう」
「航大……、本当に?」
翼の目にも涙が光る。俺は溢れてくる前に、その涙を指で拭った。
「それと、俺は、俺ばかりじゃなくて、翼が俺のことを思ってくれるみたいに、俺も翼のことを考えてるから、だから、その、旅行はテーマパークがいい……」
最後にその話をすると、翼が顔をくしゃりとして笑った。今その話? と笑われたけれど、俺なりにずっと考えていたことだから。
文句あるかよと唇を突き出すと、翼が俺を抱き寄せた。
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