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04 お姫様になる準備02 ※R18

「……っつ……あ……っ、く……」 「……みつ、大丈夫……?」 楓が心配そうに問いかけてくる。 「……大丈夫だからっ、やめんな……っ」 声が震える。 口だけは威勢のいい言葉を吐くけど、額から汗が流れ、目尻から涙がじんわりと滲む。 ベッドの上、うつ伏せのまま腰を高く突き出す体勢で、 ローションまみれの尻を楓の前にさらけ出している。 ――めっちゃ、滑稽な状況。 でも、俺も、楓も、必死だった。 まるで国家存亡の危機に立ち向かうミッションに臨んでいるような。 ただのセックスなんだけど。 「じゃあ……もう少しだけ、ゆっくり動かすよ」 静かにささやく楓の声とともに、細い指が少しずつ奥に進んでくる。 中を押し広げられる圧迫感に、思わず喉の奥で呻いた。 「っく……」 まだ痛い。気持ち悪い。 異物感と内臓に直接触れられる不快感がない混ぜになって押し寄せる。 もう弱音を吐いてしまおうか、と思ったその瞬間だった。 楓の手が、そっと俺の前にまわりこむ。 「なっ……ちょ、や、今そんな……っ!」 痛みで萎えていた俺のモノを、楓の指が優しく包み込んだ。 残っていたローションのぬめりが、ぬるんと肌を這っていく。 「こうすれば痛み、和らぐと思う」 ゆっくり、やわらかく。 一定のリズムで、前を扱かれる。 「あ……っ、ふ……」 後ろからは痛みと違和感、前からは甘く痺れるような快感。 頭が混乱して、どっちに集中すればいいのか、わからない。 「……すごい、みつの中、熱くて……狭い」 楓の指が、奥をゆっくりと探りながら囁く。 その声は、ひどく優しくて、どこか焦がれるように熱を孕んでいた。 「ここに入れたら、きっと、めちゃくちゃ気持ちいいだろうな……ね?」 「あっ……」 その言葉に、ゾクリと背筋が震えた。 痛くて、しんどくて、快感なんて想像もできない―― はずなのに。 でも、楓が言うと、不思議とそれが現実になりそうな気がしてくる。 楓がここに、入って愛してくれるーー 想像しただけで、心臓がどくん、と跳ねた。 「みつ、少し指の角度、変えるよ」 中にある楓の指が、ぐっ……と内側へ折れ曲げられた。 その瞬間。 「っ……、あ、っああ……っ!?」 ビリリ、と電気のような衝撃が全身に走った。 奥の一点が押し上げられて、全身が跳ね上がる。 まるで見えないスイッチを押されたみたいに、身体が勝手に反応した。 「……ここ? 今、すごく反応した」 指先に飾られたストーンのパーツが、鈍く硬い感触を残しながら、容赦なくその一点──前立腺をゴツゴツと責め立ててくる。 押されるたび、奥からぞわぞわとした快感がせり上がって、目元に涙がじわりと滲んだ。 「や、だ、そこ……なんか、おかしく……っ!」 「ここ、だね。……前立腺。よかった。みつ、ちゃんと感じてる」 楓の声は、ひどくホッとした様子で、それがまたたまらなかった。 痛みに萎えていた前は、知らぬ間に硬さを取り戻し、先端からは白いしずくを零していた。 「だめ……っ、変になる、やばい……っ!」 「いいよ、変になって。……みつが気持ちよくなってくれるの、すっごく嬉しい」 指はいつの間にか2本、3本と増やされて、広げるようにゆっくりと動き続ける。 同時に、前も包み込むようにやさしく愛されて―― 気づけば、さっきまでの痛みは溶けて、 全身が甘く、とろけるような熱に包まれていた。 「みつ、もう一回、イこうか」 その声に、条件反射のように首をふるけれど、 でも身体はもう、止まらない。 「あ、あ……っ、も、い……いく……っ、ああっ……!」 瞬間、視界がぱちんと弾けた。 背中が大きくのけぞり、全身が跳ねる。 「はあっ、はっ……」 気づけば楓の手の中にどろりとした欲を放っていた。 「ほんと、かわいすぎる……たまんない。」 「あん、っ……」 胎内に入っていた指がぬるりと抜け落ちた瞬間、背中にふわっと温かい唇が降りてきた。 ひとつ、またひとつ。首筋、肩、背中、腰へと、楓の口づけが静かに降りてくる。 ただそれだけなのに、ちょっとした刺激でびくりと身体が跳ねてしまう。 ……恥ずかしい。でも、気持ちいい。 前も後ろも、楓の手で丁寧に愛され、拓かれた俺の身体は、もうふにゃふにゃに溶けていた。 痛みは、奥にほんのかすかに残る程度。代わりに、指が抜けたあとの後孔が、ぽっかり寂し気に収縮を繰り返しているのが自分でも分かった。まるで誰かをねだるように。 そのとき、背後でかすかに空気が動く。 ゴムの包装を破る、微かな気配。 (あ……ほんとに、俺……楓と、セックスするんだ) ぼんやりとした頭でそう思った瞬間、胸の奥がきゅうっと締めつけられた。

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