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健人が触れた由宇の肌は、柔らかくて少し冷たかった。
しかし、その冷たさの奥に、確かなぬくもりが感じられる。
(彼は、ホントにアンドロイドなのか?)
その髪、その肌、その体。
まるで、ヒトのような感触なのだ。
戸惑う健人に、今度は由宇の方から話しかけてきた。
「もう、大丈夫です。離してくれて構いません」
「あ、そうだね。ごめん」
しっかりと抱きしめていた腕を、健人は慎重に離した。
今度はちゃんと立った由宇は、ぺこりとお辞儀をして笑顔になった。
「はじめまして。僕の名前は、由宇といいます」
「はじめまして。私は、長谷川 健人。よろしくね」
「よろしくお願いします」
やけにすんなりと、由宇の存在を受け入れることができた、健人だ。
おそらくは、子どもの頃に父が会社から持ってきた、育児ロボットのおかげだろう。
彼は健人の、素敵な友人だった。
(この、由宇くんはどうだろう。一緒に、仲良くやっていけるかな)
初対面のヒトに対する気持ちと同じように、健人は少し緊張していた。
するとそこへ、再び由宇の方から話しかけてきた。
「あの……」
「な、何かな!?」
「ここに、外部と繋がるコンピューターはありますか?」
「うん。あるけど」
何に使うんだろう、と思いながらも、健人は由宇を書斎へ案内した。
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