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はぁ、と大きく深く、長い溜息を吐いたのは、健人だけでなく由宇も同じだった。
ただ彼は、すぐに顔を上げて凛とした声で提案してきた。
「やっぱり、復讐しましょう。吉井 美咲に」
「おいおい。穏やかじゃないな」
もう、いいんだよ。
そう言って、健人は両腕を上げて伸びをした。
「由宇くんに聞いてもらったおかげで、スッキリしたよ!」
「このままでは、僕がスッキリしません」
「でも、復讐だなんて。ちょっと過激すぎないか?」
それには由宇に考えがあるらしく、人差し指を立てて提案してきた。
「彼女に危害は加えません。それより、もっと効果的な方法があります」
「何だろう」
「健人さんが、幸せになるんです。幸せな姿をアピールして、吉井 美咲を悔しがらせるんです」
なるほど一理ある、と健人は納得した。
逃がした魚は大きかった、と彼女に思わせるわけだ。
でも、どうやって?
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