25 / 256

4

 祝いの夕食後、由宇はお風呂に入りたいと言い出した。 「大丈夫? 由宇くん、シャワーやバスタブ使って、壊れたりしない?」 「平気です。バスタブでは、100まで数えるんですよね」 「いや、そういう意味じゃなくって!」 「そんなに不安なら、健人さんも一緒に入りますか? お風呂」  思いがけない由宇の誘いに、返答に詰まった健人だ。  しかし、ためらったのは一瞬だけだった。 「うん。一緒に、お風呂に入るよ」  せっかく、こんなに素敵な子が来てくれたのだ。  すぐに失うなど、考えたくも無かった。 (様子がおかしいようなら、すぐにバスルームから出そう)  そう用心し、シャワーを使いながらも由宇の方ばかり見ていた。  素裸になった由宇も、ひどく美しかった。  なめらかな白い肌が、湯をはじく。  蒸気でほてった頬が、愛らしい。  洗い髪が張り付いたうなじは、匂い立つようだ。  目が離せなくなってしまった健人に、由宇はそっと背中を向けた。 「あまり、見ないでください。……恥ずかしいです」 「あ、え、ご、ごめんね」  由宇は濡れても壊れない、とは解ったが、健人は鼓動が速まる気配を覚えていた。 (恥ずかしい、なんて感情までインプットされているのか。それにしても……)  妙に色っぽいよな、ともう一度チラ見した由宇は、のんびりと100までのカウントを始めていた。

ともだちにシェアしよう!