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「明日、由宇くんのパジャマも買おうね。部屋着とかも」
「ありがとう、健人さん」
ぶかぶかの健人のパジャマを借りて、ベッドに潜る頃には、由宇はずいぶん環境に慣れた様子だった。
言葉遣いは相変わらずていねいだが、少し柔らかくなった。
表情が豊かになり、感情も表すようになった。
(ホント、人間みたいだ)
照明を落とし、寝室はルームランプのオレンジ色に包まれた。
「おやすみ、由宇くん」
「待って、健人さん」
「え? 何かな」
「あの。エッチとかは……しないんですか?」
「ええっ!?」
健人は思わず、跳ね起きるところだった。
パジャマの裾を掴まれて、由宇に阻まれたが。
「声が、大きいです」
「いや、でも。そんなコトしたら、由宇くんが故障してしまう!」
「大丈夫です。僕には、セクソイドの機能も搭載されています」
セクソイドとは、文字通りセックスを第一の目的に開発された、アンドロイドだ。
風俗には、すでにお馴染みの機種もある。
(今時の家庭用アンドロイドは、そこまで多機能なのか……?)
困惑する健人の腕に、由宇がすがってきた。
「僕、興味があるんです。体験してみたいんです」
「えっと……」
「さっきバスルームで見た健人さんのペニスは、僕のと少し違いました」
「きゃー、やめて! 恥ずかしいから!」
おふざけで、ごまかしてしまおうとした健人だったが、由宇のまなざしは真剣だ。
それでも、恥じらいの色も確かにそこにはある。
そのギャップに、健人は降参した。
尽きない由宇の魅力に、負けた。
気付くと健人は、彼にそっと顔を近づけ、キスを贈っていた。
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