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 由宇は、いつしか唇を薄く開けて、口で呼吸していた。 (鼓動が、速く大きくなってる。体温が、上昇してる)  健人の大きな手のひらが、素肌を撫でる。  その唇が、舌が、歯先が、由宇を優しくいじめてくる。  密かな喘ぎがこぼれる頃には、心拍数も発熱も、由宇の頭の中からすっかり消えていた。  ただ未知の快楽を、健人からの愛情を、受け止めていた。 「あっ、あぅ……ッ」  由宇の小さな可愛い声が、健人の耳をくすぐった。 (未経験の子と肌を重ねるのは、初めてだ)  健人は、そんなことを思いながら、彼を大切に扱った。  怖くないように。  痛くないように。  苦しくないように。 「きれいだよ、由宇くん。とっても、素敵だ」 「あっ、あッ。はぁっ、はぁ……ッ!」  由宇の体が軽く引き攣り、足の指がきゅっと結ばれた。  少年の未熟さが残るペニスからこぼれ出た精が、シーツを濡らす。 「は、あッ。はぁっ、あぁ……」 「大丈夫?」  小さく震える由宇を、健人はゆるく抱きしめた。

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