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第七章 素敵なヒト優しいヒト

 静かな寝室に、濡れた音が響く。  由宇の体内を探る健人の指が、彼の愛液をかき回す音が、鳴る。  そしてそれに、甘く切ない声が彩を添えていた。 「あ、はぁ……ッ。あっ、あっ、んぁ……」  由宇のこぼす、艶のある声。  いや、こぼすのは声だけではない。  健人が体内を刺激するたびに、由宇は体液でその身を濡らした。  可憐な蕾は蜜に潤い、真っ白な下腹は精にまみれた。  健人を受け入れる準備は、しっかりと整っている。 「由宇くん」 「あ……はい……?」 「私を、君の中に挿れてもいい?」 「健人さんの指は、もう僕の中に入ってます……」 「うん。指じゃなくって、ね」  そこまで言って、健人は口をつぐんだ。 (な、何て伝えればいいんだ!?)  ペニスを挿れたい、なんてストレートには言えない! (は、恥ずかしいし! もっとロマンチックな言葉、なかったっけ?)  迷いながら、健人は由宇の体から指を抜いた。

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