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「っく、あッ。んぅ、う。はぅ、うぅ……」 「痛くないかな。大丈夫?」  ゆっくりと腰を進めながら、健人は由宇の顔色をうかがっていた。  もし、少しでも彼に異常が見られたら、すぐに行為をやめる気配りは持っていた。  だが、そんな健人の用心を、まるで無視するかのように由宇は振舞った。  自分の下腹に白い手のひらを乗せ、蕩ける声を紡いだ。 「あぁ、あ。来てます。健人さんの、熱くて硬い存在が。あぁ……こんなトコまで」  由宇は、その優秀なAIでは解っていた。  自分の体内に、健人の性器が侵入して来たことを。  ただ、そんな無機質な事実のみを、データとして書き込む。  それだけでは済ませられない想いが、由宇には芽生えていた。 「ん、ふぅ……」 「全部、挿入ったよ」 「すごい、です」  うっとりとした由宇の眼差しは、健人をも満足させた。  少し気持ちに余裕ができたので、軽口まで生まれてきた。 「由宇くんの中、とっても気持ちが……」 「健人さんのペニスは、医学上男子である者の平均値を超えており、その数値は……」 「ちょ、待って。急に、分析し始めないで!」  由宇のお喋りを熱いキスで黙らせた時と同じように、健人は慎重に動き始めた。

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