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「んぁっ、あッ。気持ち、いぃっ!」  健人が腰をやるたびに、由宇は悶えて声を上げた。  お喋りをやめさせようとしたはずが、逆に賑やかになっている。 「はぁ、あ。健人さん、気持ちいぃ……ッ!」  覚えたばかりの言葉を、由宇は繰り返し唱えていた。  気持ちがいい、という語彙は、起動した直後から日常会話で使えるように、インプットしてある。  けれどもそれを、由宇は噛みしめるように何度も言った。 「僕、僕は、今。とっても、気持ちいいですぅ!」  自分から湧きだしてくる、活きた言葉として、繰り返した。  そんな由宇を、健人は穏やかに愛した。  奥までは貫かず、浅いところをリズミカルに擦った。  初めての由宇に、ハードな展開は可哀想だ。  まずは、愛し合うことは素敵で楽しいんだ、と伝えたかったのだ。 「由宇くん、私も気持ちがいいよ。君は、とっても素敵だよ……」 「健人さ、ん。……あぁ、んっ。んあぁッ! はぁっ、はぁッ、あぁあああ!」  背を反り、髪を散らし、由宇は激しいエクスタシーを味わった。  健人の腕にしがみついて爪を立て、勢いよく精を飛ばした。 「由宇、くん……ッ」  健人もまた、自らを解き放った。  熱い濁流が由宇に注がれ、彼は再び大きく引き攣った。

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