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すぐにパクリとやられるかと、健人はどきどきしていた。
しかし由宇は、体の中心をまじまじと見つめ、指先一本でそっと触るだけなのだ。
「あの……由宇くん?」
「見れば見るほど、奇妙な器官です。これ、体内に隠したりは、できないんですか?」
「無理だよ、それは!」
「生物の多くは、交尾の時だけ生殖器をあらわにするんですが。ヒトは、無防備ですね」
「そ、そうだね」
まるで理科の授業のような会話をしながらも、ずっと指で撫でられている、健人だ。
次第に、もぞもぞと落ち着かなくなってきた。
(あ、やばい。まずい。勃ってきちゃったぞ……)
ちらりと由宇を見ると、目が合った。
彼も、こちらを伺っていたのだ。
「あ、あの、ね。由宇くん、これは、ね」
「健人さん、感じてくれたんですか? 僕に触られて、気持ちいいですか?」
「うん……。気持ちいいし、嬉しいよ」
「嬉しい?」
大きく深く息を吐き、健人はもう一度言った。
「とっても、嬉しい。由宇くんが、私のここを愛してくれてることが」
「じゃあ、もっと……激しく、した方がいいですか?」
「無理はしないで。奇妙な器官を口に含む、なんて。気持ち悪いだろう?」
「確かに……」
由宇は、怯んでいた。
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