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第十五章 今夜はピロートークを

 健人は、やけに乾いた心地だった。  初めて由宇と一つに結ばれた、あの日。  一週間前は、あれほど優しく彼に施したのに。  それが今夜は、まるで余裕なく求めてしまうのだ。 「由宇くん。由宇くん……!」 「健人さん!」  それは由宇も同じで、健人にしっかりとしがみついていた。  肌を擦り付け、ねだっていた。  甘い前戯もそこそこに、健人は由宇の後ろに指を這わせた。  そこはもう、ちゃんと潤っている。  オメガの体液で、濡れている。  健人の喉は、ひくりと動いた。 「由宇くん。君は、大丈夫かな? 壊れてしまったり、しないかな?」 「平気です。これでも僕、頑丈にできてるんです」  二人は息を荒げながら、早口で言い交わした。 「お願い。来て、健人さん」 「じゃあ、挿れるよ」  少しだけ指で慣らした後、健人は由宇の体内に腰を進めていった。

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