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   動いたとたんに、由宇の体内のいいところに、健人の先が当たった。  ぐりりと激しく擦れ、由宇は跳ね上がった。 「あぅ! ヤぁ、ま、また……ッ!」 「ゆ、由宇くん!?」  へなへなと再び横になってしまう由宇を、健人は労わった。 「まだ、繋がってるんだよ? 急に動くと、ヤバいよ」 「……解りました。インプット、しておきます」  疼く体を震わせ、由宇は呼吸を整えることに専念した。  やがて、ゆっくりと健人が離れ、ウェットティッシュに手を伸ばした。  薄目を開けて、由宇はそれに対抗しようとがんばった。 「健人さん。僕が、舐めて、きれいにして、あげます……」 「息も絶え絶えで、何言ってるの」  小さく笑いながら、健人は由宇の体をまず清めた。  確かに由宇は、優秀な高性能アンドロイドだ。  だが、こうして時折見せる不完全なアンバランスさが、魅力だった。 「エッチの経験は、さすがに私の方が上だね」 「うぅ……悔しい……」  そして由宇は、涙を一粒こぼした。 「えっ? 由宇くん、泣いてるの?」  ごめん、と健人はすぐに謝った。 「傷つけるつもりじゃなかったんだ。許して」 「いいえ。これは、別の案件についての落涙です」 「また君は、難しい言葉を使うなぁ」 『エッチの経験は、さすがに私の方が上だね』    この健人の言葉に、他の意味を感じ取って泣いたのだ、と由宇は語った。

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