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「それで、健人さん。賭けの詳細ですが」
「うん……。じゃあ一応、聞いておこうかな」
ディナーを終え、ホテルの個室へ戻った健人と由宇。
由宇は張り切っているが、健人の方は、歯切れの悪い応答だ。
「健人さん……すねてるんですか?」
「え」
ずばり言い当てられ、健人は頭を掻いた。
だが、由宇を相手に噓やごまかしは、したくない。
正直に、思うところを口にした。
「だって。由宇くん、吉井さんとばかり、仲良くお喋りするんだから」
「え」
これは、まさか。
もしかすると……?
「健人さん……ジェラシー、ですか?」
「当たり!」
答えるや否や、健人は由宇を胸の中へと引き寄せた。
形の良い頭を撫で、ぎゅっと抱きしめた。
「吉井さんが、由宇くんを奪ってしまうんじゃないかって。気が気じゃなかったよ」
「もう! 困った健人さんですね!」
声が笑っているので、冗談ということはすぐに解る。
それでも、嬉しい健人のジョークだった。
「これで、お相子だ。私も、吉井さんに嫉妬したからね」
「はい……」
抱き合った二人は、そっと静かにキスを交わした。
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