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第二十二章 瑞紀くんって誰ですか
『でも、大丈夫です。僕のメインブレインは、あそこにあるんです』
『まさか……宇宙?』
『はい。大きすぎるので、人工衛星に乗せて地球の軌道上にあります』
『由宇くんは、スーパーコンピューターなのかい!?』
『そうとも言えます。スパコンは宇宙にあり、僕はその端末のようなものです』
こんなやりとりから、健人は由宇の素性を真剣に考え始めた。
由宇が起動した際、メインブレインは世界中のAIに侵入し、膨大な量の情報を得た。
そして彼は、そこから必要な情報をいつでも引き出せるようになった、というわけだ。
しかし、そんな大掛かりな。
国家レベルの代物が、どうして今ここに。
私の隣に、いてくれるんだ?
『この子を選んでくれて、ありがとう。
名前は、由宇(ゆう)といいます。
どうか、幸せにしてあげてください』
そして、由宇に同封してあった、送り主からの心のこもった手紙。
(幸せにしてあげてください、とは。一体どんな意図で綴られたんだ?)
謎は、深まるばかりだ。
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