117 / 256

第二十四章 健人と由宇と、そして瑞紀と

「瑞紀くん、久しぶり!」 「健人くん、元気だった!?」  健人と瑞紀は、二人が住む地域の中心部に建つホテルの、ラウンジカフェで再会した。  まるで、高校生の少年のような挨拶だ。  由宇は、その様子が微笑ましかった。  瑞紀に対する嫉妬や不安は、すっかり消えていた。 「紹介するよ。彼は、由宇くん。私の大切な人」 「初めまして、瑞紀さん」  ていねいにお辞儀をする由宇に、瑞紀は好感を持った。 「素敵な子だね。健人くん、幸せそうで良かった」 「まあね~」  軽い返事を寄こし、健人は由宇の肩を抱き寄せて見せた。 「もう! 健人さんったら、恥ずかしいですね!」  年相応に振舞ってください、と由宇はそんな彼を、たしなめた。 「うんうん、仲がいいね。お似合いだよ」  笑う瑞紀は、優しい目をしている。  その眼差しは、健人が見せてくれた卒業アルバムの写真のままだ。 (健人さんには年相応に、と言ったけど。瑞紀さんは、若く見えるな)  そう、由宇は感じていた。

ともだちにシェアしよう!