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第二十四章 健人と由宇と、そして瑞紀と
「瑞紀くん、久しぶり!」
「健人くん、元気だった!?」
健人と瑞紀は、二人が住む地域の中心部に建つホテルの、ラウンジカフェで再会した。
まるで、高校生の少年のような挨拶だ。
由宇は、その様子が微笑ましかった。
瑞紀に対する嫉妬や不安は、すっかり消えていた。
「紹介するよ。彼は、由宇くん。私の大切な人」
「初めまして、瑞紀さん」
ていねいにお辞儀をする由宇に、瑞紀は好感を持った。
「素敵な子だね。健人くん、幸せそうで良かった」
「まあね~」
軽い返事を寄こし、健人は由宇の肩を抱き寄せて見せた。
「もう! 健人さんったら、恥ずかしいですね!」
年相応に振舞ってください、と由宇はそんな彼を、たしなめた。
「うんうん、仲がいいね。お似合いだよ」
笑う瑞紀は、優しい目をしている。
その眼差しは、健人が見せてくれた卒業アルバムの写真のままだ。
(健人さんには年相応に、と言ったけど。瑞紀さんは、若く見えるな)
そう、由宇は感じていた。
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