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第二十五章 結婚とか考えたことある?
『さて。由宇くんは、まず何が訊きたいのかな?』
『はい。瑞紀さんが、最後に騎乗する馬の名前です』
こんなやりとりから始まった、由宇と瑞紀の会話。
元・恋人が、気になる。
健人の過去を、知りたい。
そんな内容になると考えていた瑞紀には、意外な由宇の言葉だった。
「僕、瑞紀さんを応援したくなったんです」
そして由宇は、自分はアンドロイドであることを、告白した。
瑞紀は、生身のヒトにしか見えない彼に驚いたが、すぐに健人の言葉を思い出した。
『紹介するよ。彼は、由宇くん。私の大切な人』
その体がどうあれ、健人が心から愛している存在だ。
瑞紀は、自分でも驚くほど自然に、由宇を受け入れることができた。
その上で、言った。
「健人さんの過去とか、気にならないのかな? 僕は、てっきりそんな話と思ってたよ」
「それは確かに、聞きたいです。ですが、20分しか時間がありません」
限られた、わずかな時間。
「その間に僕は、過去ではなく未来の話をしたいんです」
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