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「ただいま、帰りました!」
「おかえり、由宇くん」
「高校生の夏、学校のグラウンドでロケット花火を飛ばして、怒られたそうですね?」
「あぁ! やっぱり、そういう昔話を聞いてきたんだね!」
この分だと、少年時代の悪事や恥を、たらふく知ったに違いない。
健人は、そう考えて頭を抱えたが、由宇はすぐに別の話に切り替えた。
「高橋さんとの競馬勝負。推し馬3頭が決まりました」
「急に、どうしたの?」
「ハッピィサカモト、ヤワミシラタマ。そして、ブルーフェニックス。以上です」
「おや? 一番人気の、ナンカイイーグルが入ってないね」
由宇は、深くうなずいた。
「瑞紀さんの、ラストラン。それが、ブルーフェニックスなんです」
「なるほど、解った」
健人も、深くうなずき返した。
データ重視の由宇が、情を絡ませ勝負に挑む。
それは、健人にとって嬉しい彼の変化だった。
しかも、瑞紀本人に訊ねて、騎乗馬を知ったというではないか。
「由宇くん、ハッキングしなかったんだね!」
「はい、今回ばかりは。瑞紀さんの個人情報は、盗み見る気持ちになれません」
今回ばかりは、と限定的な点は気になるが、それでも健人は喜んだ。
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