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「もしもし、美咲さんですか? こちらの推し馬が決まりました」
『由宇くん。じゃあ、教えてくれるかなぁ?』
「ハッピィサカモト、ヤワミシラタマ、ブルーフェニックス。この3頭です」
『マジ? ナンカイイーグル、推さないの? あの馬、速いそうだよぉ?』
「このラインナップで、勝負です。そちらと被っている馬は、いませんか?」
『こっちは、ナンカイイーグル、アイスワーラー、バビロンミナミ。大丈夫だよぉ』
後は少しだけ話をして、由宇は美咲との通話を終えた。
「吉井さんは、何て言ってた?」
「ずいぶん張り切った様子でしたよ」
絶対に勝っちゃうんだからぁ、と、由宇は美咲の口真似をして見せた。
健人は笑いながらも、首を縦に振った。
「彼女は高橋さんとの結婚も、かかってるからね」
高橋は、この競馬勝負で勝利し大金を手に入れれば、美咲にプロポーズする、と言ったのだ。
悪だくみはするし、ケンカもするが、お似合いの二人。
健人は、美咲と高橋には勝敗の関係なく、結ばれて幸せになって欲しかった。
「そういうところが、甘い。そして、チョロいと言われるんですよ。健人さん」
「耳が痛いよ、由宇くん」
「でも僕は、そんな健人さんが大好きです」
笑いながらも健人は、由宇にそっと身を寄せた。
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