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長い歴史を経て、人類は高度な知識と技術を手にしてきた。
そして、その要所要所には、重要な役割を担った個人が存在した。
それは、通常では思いつかない、閃きを生む人間だ。
閃きを数式に表し、体系化し、実用化にまで発展させる能力を持つ、いわゆる天才たち。
「乃亜さんは、そんな天才の一人なんです」
「確かに……天才じゃなければ、由宇くんみたいな精巧なアンドロイドは造れない」
健人は、ギフテッド、という言葉を思い描いた。
ギフテッドとは、天賦の才を持つ人々、という意味だ。
同世代の子どもよりも、先天的に高い能力を持っている人のことを、表している。
ギフテッドは、特定の学問や芸術性などにおいて、高い能力を持っている。
この国では、彼らが持つ能力を最大限発揮させるために、個人の特性に配慮できる、特別な教育機関を設けていた。
「そこに、乃亜さんはいるんだね?」
「はい。表向きは、そうなっています」
「表向きは、って。まさか、裏があるのかい?」
「乃亜さんは、国家機密によって生まれた、特殊な人間の一人です」
裏だとか、機密だとか。
健人は、嫌な予感がしてきた。
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