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第二十七章 由宇と乃亜
由宇は、なかなか核心について話さなかった。
彼を造った科学者・乃亜。
その秘密を知ることは、そのまま由宇の背景を知ることになる。
そう考えて、健人は今か今かと待っていたが、一向に話すそぶりを見せない。
夕食を終え、お風呂に入り。
その後は、動物の可愛い動画を二人で眺めて、くつろいだ。
時刻は、まもなく22時になるところだ。
(これは、今日は話を聞けそうにないな)
健人はそう判断し、ソファから立ち上がった。
「ぼちぼち、寝る用意でもしようか」
「はい。健人さん、休む前に甘酒はどうですか?」
「いいね。冷で、キュッといこうか!」
「甘酒は、アルコール飲料ではありませんよ」
笑いながら、由宇はキッチンへ向かった。
こういった会話でも、笑えるようになった、由宇だ。
起動したての頃は、冗談も通じなかった彼なのに。
「由宇くんは、成長しているんだ」
それを思うと、健人の胸は甘く疼いた。
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