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『トップは、ナンカイイーグル。続いてバビロンミナミ、ハッピィサカモト』
『隊列を組んだかのように、この態勢は変わらない』
『このまま直線になだれ込むのか、それとも誰か仕掛けてくるか?』
そして、各馬いよいよ勝負どころの、第3コーナーへと向かう。
まだ、仕掛けない。
まだ、どの馬も動かない。
「健人さん……」
「どうしたの、由宇くん」
「僕。僕は、もうダメです。見ていられない……!」
由宇は、健人にすがって固く目を閉じている。
そんな彼の肩を、健人は力強く抱いた。
「瑞紀くんのラストランを、一緒に見届けよう。勝敗は、二の次だよ」
「は、はい!」
頼もしい言葉に勇気づけられ、由宇は瞼を開いた。
(そうだ。瑞紀さんだって、闘ってるんだから)
そんな彼を、最後まで応援しなきゃ!
レースは、ついに第3コーナーから4コーナーへと向かった。
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