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先頭集団の3頭は、依然としてナンカイイーグル、バビロンミナミ、ハッピィサカモトだった。
ナンカイイーグルの若き騎手は、気分良く馬を走らせていた。
(さすが、GIレースで活躍した親を持つ馬だ。全く足色が鈍らない!)
元は、瑞紀が乗る予定だった、ナンカイイーグル。
馬主や調教師などの、上部組織の思惑で、話題性のある彼にその権利は移されてしまった。
だが、それを気に留めることなく、レースを闘う男だ。
(大人の事情は知らないが、俺はこいつと勝たせてもらうぜ!)
そして、デビューのこの年に、新人最多勝をマークする。
来年は、GIを制覇。
(ゆくゆくは、競馬界のレジェンドに成り上がってやる!)
馬上で壮大な野望を抱いている新人もいれば、虎視眈々と仕掛けのタイミングをうかがうベテランもいた。
瑞紀だ。
これで、引退。
泣いても笑っても、最後になるレース。
それでも彼は冷静に、馬の呼吸を計りながら、左回りのコースを走っていた。
(コーナーで、馬が外に膨らむ動きを利用して……ここだ!)
頼むよ、ブルーフェニックス!
そんな願いを込めて、瑞紀はこのレース初めての鞭を使った。
ただそれは、合図に過ぎない。
馬を傷めないように、軽く振るった。
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