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 各馬一斉に、ラストスパートを仕掛ける。  最後の直線は、約400mだ。  だがこれは、ただの直線ではない。  高低差・約2mに及ぶ、上り坂があるのだ。  さらに、この坂を上り切った後も、200m駆け抜けて、ようやくゴールにたどり着く。  もちろん、似たような練習コースで、訓練を積んで来た馬ばかりだ。  しかし、これほどタフでハードなコースは、想定外だった。 「しかも、今日は雨。おまけに、最終レースだ!」 「雨で、ダートが湿って固くなっていますね!」  健人と由宇は、顔を見合わせた。  二人の目は、期待に満ちていた。  このようなコンディションでは、スピードや終盤に定評のある馬が、活躍する。  そして瑞紀の駆るブルーフェニックスは、その見事な走りを見せていた。  各馬、スパートをかけたが、脚があがって実力を発揮できていない。  そんな中、ブルーフェニックスだけは、しっかりと大地を蹴って進んでいた。 『しかし、ナンカイイーグルも粘る! ブルーフェニックスに、迫る!』 『追いつくか、イーグル! 逃げ切るか、フェニックス!』 『残る距離は、200! ……今、残り200の標識を通過!』 『差は、一馬身! どうなる!?』

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