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 一着騎手のヒーローインタビューで、瑞紀は清々しい表情を見せていた。  ようやく、最後の最後で手にした、優勝。  マイクを手にしたインタビュアーは、そんな瑞紀の引退をひどく惜しんだ。 『ブルーフェニックスとは、息がぴったりでした。名コンビ誕生と思うのですが?』 『ありがとうございます。でも、もう決めていましたから』 『フェニックスとなら、GⅠ勝利も狙えるのではないでしょうか?』 『僕の他に、素晴らしい騎手は大勢います。彼らに、夢を託したいと思います』  ただ、ブルーフェニックスは、鞭で追われるのが嫌いな馬だ。  彼に騎乗する人には、それだけは肝に銘じてもらいたい。  そう、しっかりと語った。  後ほど瑞紀は、健人に御礼とお別れの電話を寄こしてくれた。  そこでも彼は、ブルーフェニックスの今後を案じていた。 『一か月後に、彼の住む離島へ引っ越すよ』 『わりと、ゆっくりできるんだね。のんびり心身を癒すといいよ』 『ううん。その間に、ブルーフェニックスの引継ぎをするんだ』 『調教師さんや、騎手さんに?』 『そうなんだ。何か、頼られちゃって。僕も、馬が心配だし』  本来なら、一週間以内に引っ越すつもりだった、瑞紀だ。  だが彼は、ブルーフェニックスのために、今しばらく留まることにした。  責任感の強い、そして馬が大好きな瑞紀らしい、選択だった。

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