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「ちょ、由宇くん!?」
「僕も、健人さんを。……気持ちよく、させたい」
「大丈夫? 無理してない?」
なにせ由宇には、前科がある。
自信満々でフェラチオをやると言っておきながら、いざとなると怯んでしまった前科が。
それでも由宇は、健人のものを、そっと慈しみ始めた。
(データは、いくらでもあるんだ。それを、実践するだけだ)
由宇は起動したときに、世界中のコンピューターから、データを取り入れた。
その中には、パートナーを悦ばせるためのテクニックも、たくさんあったのだ。
「裏筋をなぞったり、先端を撫で回したり、棒芯をしごいたり……」
「ゆ、由宇くん?」
ブツブツ唱えながら、そのとおりに手を動かす、由宇だ。
しかし、それらは全て、フェザータッチ。
触れるか触れないか、くらいの微妙な愛撫だ。
本腰を入れて施しているとは、とても思えない。
(健人さんのココ、すごく熱くなってる)
血管を浮き上がらせて脈打つ、健人のペニス。
それに触れていると、どうしても心が退けてしまうのだ。
恥ずかしい、だとか、少し怖い、だとか。
そんな感情が泡立っては、弾けてしまうのだ。
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