164 / 256

3

「ちょ、由宇くん!?」 「僕も、健人さんを。……気持ちよく、させたい」 「大丈夫? 無理してない?」  なにせ由宇には、前科がある。  自信満々でフェラチオをやると言っておきながら、いざとなると怯んでしまった前科が。  それでも由宇は、健人のものを、そっと慈しみ始めた。 (データは、いくらでもあるんだ。それを、実践するだけだ)  由宇は起動したときに、世界中のコンピューターから、データを取り入れた。  その中には、パートナーを悦ばせるためのテクニックも、たくさんあったのだ。 「裏筋をなぞったり、先端を撫で回したり、棒芯をしごいたり……」 「ゆ、由宇くん?」  ブツブツ唱えながら、そのとおりに手を動かす、由宇だ。  しかし、それらは全て、フェザータッチ。  触れるか触れないか、くらいの微妙な愛撫だ。  本腰を入れて施しているとは、とても思えない。 (健人さんのココ、すごく熱くなってる)  血管を浮き上がらせて脈打つ、健人のペニス。  それに触れていると、どうしても心が退けてしまうのだ。  恥ずかしい、だとか、少し怖い、だとか。  そんな感情が泡立っては、弾けてしまうのだ。

ともだちにシェアしよう!