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第三十四章 突然のSOS
すでに日は昇っているが、健人と由宇はまだベッドにいた。
肌触りの良い羽毛の薄掛けが、ひんやりと心地よい。
「健人さん、早く起きて朝食にしましょうよ」
「昨夜、ピロートークできなかったから……」
「だからって。もう、8時ですよ?」
「今日は日曜日で、出勤しなくてもいいから、さ」
のんびりと由宇に腕枕を与えながら、健人は天井を見上げて話し始めた。
「実は、会社を辞めようと思うんだ」
「えっ?」
大金を手にしても、これまで通りに働きたい、と健人は以前話していた。
仕事は忙しいが楽しく、やりがいを感じていたからだ。
それがまた、どうして気が変わったのか。
答えはすぐに、彼自身の口から聞くことができた。
「私は、まだ諦めていないよ。由宇くんとの結婚」
「健人さん!」
咎めようとする由宇の唇に、そっと人差し指を当て、健人は続けた。
「心配してくれて、ありがとう。でも私は、君がアンドロイドでも構わないんだ」
本当だよ、と由宇の唇に当てた指を、今度は可愛らしい鼻の先に移した。
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